lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

レトリック一考

最近はアメリカ合衆国を解剖するように色々と調べたりしているが、以前から米大統領の演説には興味を持っていた。どの大統領の言葉もよく考えられた(当たり前?)人民の心を揺り動かすような演説内容であると実感する。それが、いわゆる弁論・叙述の技術(レトリック)なのだろう。まさに、政治は言葉であるといえる。(行動が伴わなきゃどうしょもないですけどね・・・)

さて、歴代の大統領演説の中でも、エイブラハム・リンカーンAbraham Lincoln)のそれは、名文中の名文であるだろう。彼の「ゲティスバーグ演説The Gettysburg Address)」は、南北戦争さなか、南軍だけで4000人の死者を出したゲディスバーグにおいて、ハーヴァード大学長:Eエヴァレットの2時間にわたる基調講演ののちわずか2分間で行われた。当時のリンカーンは大統領には就任していたもののあまり尊敬されておらず、Abrahamをもじって、Ape(類人猿)などと揶揄されあまり信用されていなかったというが、この2分間の演説によって、世間の彼に対する視線が完全に(尊敬へと)変化したという。

演説は以下のように始まる。
"Four score and seven years ago our fathers brought forth on this continent a new nation, conceived in liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.

冒頭の「87年前」という言葉を、"Eighty seven years ago" とせずに、"Four score and seven years ago" としている。聖書には、人間の寿命を70年(three score years and ten)と表現しているらしいが、同じ表現(score)で年数を表している。そこで、ピューリタンの子達―アメリカ国民―はグッと心をつかませられるらしい。

そして、演説のヤマでは、戦争で亡くなった同胞のアメリカ人に対し敬意を表しながら、有名なあの一文を含むレトリックで語りかける。
"It is rather for us to be here dedicated to the great task remaining before us―that from these honored dead we take increased devotion to that cause for which they gave the last full measure of devotion―that we here highly resolve that these dead shall not have died in vain―that this nation, under God, shall have a new birth of freedom―and that government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth."

ゲディスバーグでリンカーンが行った演説は、(エヴァンスの)2時間の講演を凌駕し、場の空気を変えてしまった。そして、2世紀の後も名文と語り継がれることとなる。