lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

主食と栄養

以前からずっと気になっていた本をやっと読むことができました♪『アメリカ小麦戦略と日本人の食生活』(鈴木猛夫:2003年、藤原書店

「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活

世の中には食に全く無頓着で、おなかが一杯になればよいという方もいらっしゃいますが、私の場合は周りを見聞きしての経験上、どちらかというと「医食同源」が頭のなかに染み付いており、自分ひとりのための食事でも栄養を考える癖がついています。勿論、毎食すべての食品種を取り入れるということは不可能ですが、2-3日のスパンで様々な食材を取り入れるようにしています。ベースは和食で、ご飯・お味噌汁・糠漬け・納豆という「my黄金メニュー」が一番の好物だし、コレだったら毎日食べても飽きないOKメニューです。ま、イタリアンや中華も大好きでよく食べるんですけどねー(=v=)

戦後、日本人の食生活は急激に変化したというのはよく言われることですが、どのような経緯で変わったのかは今まで知りませんでした。確かに、100年前の日本人が、オリーブオイルやパスタを食べることは無かったでしょうし、現在のように肉も魚もといった、バラエティに富んだ副食をとることも無いのが普通だったでしょう。赤ん坊は母乳で育つものであり、現代のように、牛乳から造られるミルクを与えられていたわけではなかったはず。

この書籍は、日本人の食生活が変わっていった経緯とその影響を、政治的な側面、社会的な側面、栄養学的側面と様々な角度から語っています。第二次世界大戦に負け、食料の不足する日本と、有り余る備蓄小麦の捌け口を必要とした米国。お互いの利害が一致したことで、日本は小麦を米国から取り入れることになった。しかし戦後の食料不足の時期を過ぎても、有益な得意先としての日本は、米国から更なる小麦を取り入れた。それらは、給食というシステムを介してパンという形で、牛乳と共に子供たちに与えられた。また、キッチンカーを使っての料理実演セミナーでは、小麦や肉、牛乳を使った料理を主婦たちの前で実演し、このような食事が「一番体の為に良い」と啓蒙した。実演で使われた西洋風の調味料などはすぐに売り切れたという。一般的にはこの「栄養改善運動」のおかげで、日本人の体躯は向上し、欧米人並みの体の大きさを手に入れたといわれている。一方で、米を中心とする食生活を送っていたときにはほとんど見られなかったような西洋型の病気が蔓延する弊害が現れた。

この全国区の「栄養改善啓蒙活動」は米国の資金でまかなわれたが、かといって現在にいたる「がんや糖尿病の蔓延」は、米国のみの責任ではないのだ。米国の長期的展望であった「小麦戦略」にNOを言わなかったのは日本である。否、むしろ積極的に受け入れていたといっていい。当時の省庁や栄養関係者が、(表面的には)日本人の体躯向上を目標として意図的に欧米の食生活を取り入れることを選んだのだ。時を経てハムエッグにトーストの朝食が当たり前となった現在、もう昔のような食生活に戻すのは不可能に近いだろう。この本では精製した米や小麦の弊害も解説している。欧州では全粒粉や胚芽いりのパンを好むヨーロピアンが多いなと感じていたが、彼らは精製されたパンの弊害を知っていたということだろう。

しかし、かなり読み応えのある本だった。社会的な啓蒙運動というのがどのようなものなのか考えることができたし。栄養を摂取に関する知識も良かったな☆なんか卒論こういう関係でやりたいなぁ。。。ヽ(=´▽`=)ノ