lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

シンポジウム聞きにいってみた

12月15〜16日に京都で開催された国際シンポジウム「人種神話を解体する―Dismantling the Race Myth」を聞きに行ってみました。



このシンポジウムは、I.見えない人種の表象、II.科学と社会の共生産、III.「血」の政治学を越えて、の3部構成になっていました。全部聞きたかったのですが、都合上聞けない部分もあってとても残念っ(>_<)で、肝心の内容のほうは、タイトルにもあるとおり人種を様々な観点から考察した成果発表でした。私自身は、公立の小・中・高の教育(まぁ、文科省の色濃い教育とも言い換えることができるかもw)を受けてる全くのドメスティックな人間ですが、多少留学経験とかして国外でいろんなことを見てきていること、これって人種差別だよなっていう経験もしていることなどから、個人的にとても興味のあるエリアといえます。そして、最新の知見、院生を含む研究者の方々がこの分野についてどんな研究をされているのかというのを垣間見ることができたのはラッキーでした。また、このシンポジウムで発表された研究成果は科学研究費の支援を受けて行われたようで、その成果を広く一般にも公開しようという趣旨からか無料で聞くことができたのもありがたいことです(^o^)国民の税金で行われた研究だから国民に還元するということなんですよね。

さて、人種というと白人とか黒人とかいうのを直感的に思い浮かべますが、このシンポジウムで取り扱われたのはそれだけではありませんでした。「可視化されない」という言葉通り、見た目の区別がつけにくいけど生じているという差別についての話もありました。日本でいうと、部落問題―いわゆるエタ・ヒニンというものですね。我が国ではもうすでに封印されてしまっているらしいので、義務教育でなんとなくそんなこと習ったなーくらいで、記憶の彼方にあるかないかみたいなかんじですけど、まちがいなく存在していた人種差別です。これは分かりにくい。部落というものが何であるのかもイマイチ理解できないし、なんで同じ見かけの人間との間に差別が生じるというのも私にはピンとこないわけです。階級差別にたとえられるんかなとも思うんですが、微妙に違う気も。そんな感じで、この関連の話については、ほぇー!っという感じで聞きながら、今「点」として存在している自分の頭の中の知識とのつながりを模索していたという感じです。

そしてもちろんオーソドックスな人種差別の話も。この系統の話になると、やっぱりMixed Raceというものがセットで出てくる。日本人でも米国なんかに住む日系何世という人々がいますが、人種が変われど同じ文化を共有するのならそこに恋愛が生まれてもおかしくないし、結果的に結婚や出産がついてくることも珍しくないわけです。そのことでいわゆる異人種間の血を持つ子供が生まれることになる。昨今はヒトゲノム解析とかで人間の遺伝子とかもう解読済になっているし、費用を別にすれば、わりと簡単に遺伝子検査とかできて自分の祖先がどういった人種であったのかわかってしまう。そういった科学的な視点とはまったく異なったところで、やっぱり見た目や言葉を含む文化が違うと、本人同士は感じていなくても周りが何かと物議を醸すことがあったりするように思う。

英語を勉強し始めるとこういった異人種間結婚なんかの話題も出てくるようになるので、こういったMixed Raceの人々について、彼らのアイデンティティはどこに置かれるのだろうと思っていたことがあります。私自身は家系に外国人がいるとかいうわけでもなく、フツーの日本庶民の出自ですから感覚的にやぱり理解しにくい。ひとつの例としてよい経験だったなと思えるのは、そんなような疑問を持っていたころに、私より10歳くらい若い、タイと日本のMixed Raceの男の子と知り合ったことです。色々と遊びを教えてもらった夜遊び友達wだったんですが、私との会話は95%日本語なわけです。ところが、あるとき彼は自分をタイ人だと認識していると私に言ったことがあり、その時ものすごく不思議な感じがしたことを記憶しています。言語とアイデンティティの関係って?育った国の教育の影響はどうなるの?家族の影響は?

やっぱ自分が誰であるのかって言うコアがしっかりしていないと、人間って生きていけないと思うんです。私の場合は日本人であるというコアがある。そういったものを、実際のMixed Raceの人々は自分なりに解釈して時には自分自身に思い込ませたりしてるのかもしれないし、どっちの人種として生きたらよりよく生きられるのかと手探りしながら模索していっているのかもしれないなとも思ったりします。よくハリウッド俳優とかのプロフィールに、ドイツ人とイタリア人の間にとか、インディアンとアイルランドと北欧の血がとか、そういった紹介を見たことありますが、あーやっぱり総括すると見た目が白人で行動も白人なら白人となるんだと、今回のシンポジウム聞いて思いました。なんか、まとまりない雑感ですが。

あと、オバマ大統領。4年前初の黒人大統領ということでものすごいフィーバーが日本にまで伝わってきましたが、彼はハワイだったから生まれることができたっていうのもすごい話ですね。たしかにそのころは多くの州―特に南部―で法律で異人種間結婚を認めていなかったのだから、彼の両親が南部にいたなら結婚できず、彼も生まれていないわけです。歴史がまったくかわっていましたね。「ハワイだったから」これってすごいです。ものすごいインパクトでした。