lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

『銃・病原菌・鉄』を見た!

実はこの書籍、大学入学前に知ってずーっと読みたいと思いつつ月日が経ってしまった1冊なのです。今回タイミングが合って書籍上下巻借りたんですが、レポ執筆期限が迫ってきているため読破できずに再び保留状態っ(>_<)そんな中、図書館で半年くらい前に予約したDVDがついに順番が来まして、まずはDVDを一気に視聴しました☆
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
史書にカテゴライズされるだろうこの書籍の著者は、歴史学ではなく、どちらかといえば畑違いの生物の先生です。鳥の観察のため訪れたパプアニューギニアで出あった現地の青年が発した一つの質問から、“なぜ、世界は持つ者と持たざる者に分かれてしまったのか”という疑問に行き着き、それを発端として、人間の歴史を1万3千年前までさかのぼり調べていったわけです。そして行き着いたのが、「銃・病原菌・鉄」の理論です。

“なぜ、世界は持つ者と持たざる者に分かれてしまったのか”、私自身の問いに翻訳し直してみれば、“世界はなぜ西洋(白人文化)を基準として回っているのか”。このような疑問は、かつて、一部の白人によって“人種の違い”で片づけられてしまっていたわけです。それが端的に表れているのが、優生学なんだと思うんですね。入学1年目に一般西洋史をやった時にアメリカの人種差別についての1冊を読み、わずか40~50年前にまだ現実問題として露骨な人種差別があったことに驚きました。大学の教授の様な影響力のある人が、優生学という学問領域の名のもとに“黒人は劣る”などと言ったりすれば、一般人は納得しちゃうじゃないですか。読んでて、そういうのってどうなのかなーと思いましたよ。あ、余談ですが、優生学については先日学友のブログにあった記事がかなり面白かったです♪

ダイヤモンド教授の考える“地理的な要因”は確かにうなづけるところがあります。こうなるともう、運・不運の話になってしまうけれど、人間が心地よいと思える気候のもとで暮らすことができた者は、やはりラッキーなんだと思うんですよ。食べ物一つとっても、もちろんグローバル化した今では他国の食生活を自国で再現することは可能とはいえ、基本的に寒冷地でおいしい果物や野菜ができることはないんだし、だからヨーロッパ北部ではじゃがいもや家畜の肉、近海で取れる魚を加工することで、厳しい冬を乗り切っていった。究極に言ってしまうなら、もうほとんど生き延びるためだけの食生活であったんじゃないかと思います。

料理がおいしいといわれるところは、フランスやイタリア、中国や日本だって、たとえ国内に寒冷地を含んだとしても、温暖なエリアを有しているように思います。これはもうラッキー以外の何ものでもないですよね。気候が温暖であれば作物も育ち、多くの人を食べさせることができる。そしてその中からいろんな知恵を持つものが現れ、技術や研究に没頭し、他の者(農民)に還元し、さらにまた多くの人を食べさせることができるようになる。このvirtuous circleによってどんどん国は発達していく。

21世紀の現在でも、未だに先進国と呼ばれる国々とはかけ離れた暮らしをするところが存在します。彼らは物質面からいえばアンラッキーな要因でそういう生活をしているといえるかもしれません。でも物質的に恵まれているから幸せなのかはまた別の問題。もしかしたらあまりものを持たない彼らの方が、ずっと人間的で幸せな人生を送っているのかもしれませんσ(゚・゚*)

この書籍は「持つもの」が他国に侵略していった歴史についても触れていますが、そちらについての感想はまたおいおいと。