lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

アメリカ関連書籍通読

最近、大学のテキスト以外の書籍―アメリカに関するもの―を4冊ほど通読しました。好んで読む新書系ですね。まぁ、卒論を視野において様々な書籍を読み始めてみるということも必要かもしれないし。。。(⌒^⌒)bというわけで、読後の感想など少し記事にしておきたいと思います。

アメリカの原理主義 (集英社新書)
アメリカの原理主義』:著者は、同時多発テロを挟んで長い間アメリカに滞在しており、"911を境に「社会の座標軸がズズッと右にずれたような変化」を体験した"という言葉で同国の変化を表現している。つまり、911を境に米国民の保守化が今までよりももっと進んだということらしい。もちろん、誰しも自国を愛するのは当たり前だけれど、アメリカ人の中にはアメリカはprivilegeを与えられた"特別な国"っていう認識があるようで、それに拍車がかかったんですかね?同書にもあるけど、日本はキリスト教をベースとしていない国なので理解しにくいというのはとてもよくわかる。これだけ遺伝子解析が進んだ21世紀の今でも、同国の保守派の人々は未だにダーウィンの進化論は間違いであると思っているらしい・・・ということは、人種の差はものすごい大きなことになるということですよね?当然白人が一番すぐれているという思考に行きつくだろうし。この国を見る時はキリスト教は切り離して考えてはいけないのだなということがわかる1冊でしたねぇ。

性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)
『性と暴力のアメリカ』:手に取ってから気づいたのですが、大学の英語ライティング講義で教わった先生の著書です。性と暴力っていう視点が独特だなというのが第一印象でした。読んでいて思ったのは、やはりここでもキリスト教が根っこに出てくる―アメリカという国はつくづくキリスト教を根本において考察しないといけないのだなと。リンチというショッキングな慣習も含め、アメリカン・ドリームのように華やかで自由な雰囲気の裏にある、彼の国の姿にある意味愕然としました。さすがパラグラフ・ライティングを教えていらっしゃるので、とても整然と書かれているのも印象的です。

アメリカの家族 (岩波新書 新赤版 (671))
アメリカの家族』:科学技術が進んだおかげで、今まで子供が持てなかった人々にも少なくとも自分、乃至はパートナーの血を分けた子供が持てるようになった。でも、他人のおなかを借りて生まれた子供は誰の子供であるのかなど、そのことで生れる新たな法律的問題もある。びっくりしたのは、アメリカには子どもを育てるゲイ・カップルもいるんだそうな。それが子供にどういう影響を与えるのかはその子が大人になり、もしかしたら死ぬ時までわからないのかも。多くの人が結婚、離婚を繰り返して、血縁のない者同士が家族を形成していく。とにかく家族至上主義というのが根底にあって、それは究極の絆を求めてさまよっている姿なのだという。フランスなんかは事実婚が多いって聞いたんだけど、ラテンとの違いなんでしょうか?アメリかという国の実情を知ると共に、ありきたりだけど、家族とは何なのか考えさせられる1冊であった。

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)
『ルポ貧困大国アメリカII』:同署のIにあった、貧困だから太るっていうのがかなり衝撃的だったんですけど、IIもかなりすごい内容でした。昔、グリーンカードを取得してアメリカに移住するっていうのを聞いたことがあるけれど、ハッキリ言って頼まれても勘弁しますって思ってしまうくらい怖かった1冊。アメリカの格差は知っていたつもりだったけど、教育や医療といった本来なら当たり前に得られるはずの事柄から借金地獄に陥っていく中産階級の人々。刑務所に入所している人材を第三世界よりも安価なお給料で雇う企業の数々。同国の学生ローンの違法じゃないかって思えるような酷さ。そして、学位を得てきちんとした仕事について、借りたローンを返そうと思っていても、実際は低賃金のマックジョブレンタルビデオの仕事にしかありつけない学生たち。とにかくお金至上主義というか、恐ろしいです。従来の、富める者は更に冨み、貧しいものは更に貧しくのみならず、身の丈に合った生活をしながら生活の向上を目指した人々が餌食になっているようで、かつてよく聞いた、"アメリカン・トリーム"って、本当にこの国に存在するのだろうかと懐疑的になってしまいます。

4冊ともかなりヘビーな内容であったので眉間にしわがよりそうだったけど。少しは卒論のテーマ探しに役立ったかもしれません。(ё_ё)