lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

人種とは何か?

ダーウィンの『進化論』から派生していろいろ調べつつ考えたりしていたのだが、少なくとも科学に明るい人々の間では、そして、あまり宗教的でないわが国の一般人にとっても、彼の壮大なる仮説はすでに常識となっているといってよいだろう。ヒトの進化を考える際によく言われるのが、人類の祖先はアフリカに住む一人の女性―ミトコンドリア・イヴ―に行きつくという説。しかし、もし人類があるひとつの種から派生して現在の多様な人種へと進化していったのなら、人種とは何なのだろう。

ところで、「人種(race)」と密接な関係をもつ言葉に「民族(ethnic group)」がある。法学の勉強をした際に、民族とは要するに、「言語、領土、経済生活および文化などの共通性によって統一された人類の歴史的に築かれた永続性ある共同体である」(『法学』:慶應通信,p91)という一節があった。かつて、ハプスブルクで最長の治世を誇ったフランツ・ヨーゼフ(美貌で知られるエリザベートの夫)は、帝国内に多様な民族を抱えていたために苦労がたえず、また、エリザベートハンガリー偏愛からオーストリア=ハンガリー帝国なるものを立ち上げてしまったため、帝国内のスラブ民族ナショナリズムが高まってしまったという。しかしよくよく考えて見れば、一般的に言われている人種分類は、コーカソイドネグロイドモンゴロイドの3つであるから、その分類からいったらオーストリア=ハンガリー帝国の国民は、人種的にはみんな同じなんじゃないのかなぁ・・・。

現代においても、アメリカなどはメルティング・ポット(最近はサラダ・ボウルというらしいですが)といわれるだけのこともあり、さまざまな人種・民族を抱えており、本来の民族としての「アメリカ人」は、ネイティブ・アメリカンの人々しかいないことになるし。

生物を分類する際に、「界・門・網・目・科・属・種」というわけ方があるそうだ。人間をこれに当てはめると、「動物界・脊椎動物亜門・哺乳網・サル目・ヒト科・ヒト属・ホモサピエンス」となるらしい。おもしろいのは、異なる種の間では子孫を残すことができないらしいということ。多くの国際結婚カップルがきちんと子孫を残していることを考えたら、どの国に住むどのような人種のどのような民族に属する人々も、生物学的にはみんな同じ"種"であるということだろう。しかしながら、世の中を見渡すと、どうもうまく折り合いがつけられない場合がある。人間の悲しい性なのだろうか?