lalala sunshine

〜慶應文学部を通信教育過程で卒業しました〜

天使と悪魔か?(その2)

映画にもなった、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』は、カトリックのお膝元であるヴァチカン共和国を舞台に、科学と宗教が対立するさまを描いたフィクションである。ここでいう「宗教vs科学」は、究極的には「カトリックvs生命科学」といってもよい構図であったのではないかと記憶する。

自身が典型的な無宗教のため、宗教系の知識は皆無に近い。かろうじて西洋史的知識から、キリスト教カトリックプロテスタントに分かれていることは認識しているが、両者の違いについては、偶像崇拝(マリア)の有無くらいしか知識がない。しかし、やはり同じキリスト教、両者のコアとなる部分―ただひとつの神しか認めない―は一致しているのではないかと思う。(違っていたらご指摘ください!)そしてそれは、古代ギリシャローマ帝国が、複数の神を崇拝したこととの決定的な違いであるだろう。

ご存じの通り、アメリカ合衆国は、WASPWhite Anglo-Saxon Protestant)を中心として廻っている国である。歴代大統領もほとんどがプロテスタントであり、近年大統領の中でも、G.W.ブッシュ元大統領は特に敬虔な信者として知られている。彼らは、新天地を求めて海を渡ってきたカルヴァン派ピューリタンたちの思想を、300年以上経過した今もコアの部分に持っている。それが強く出た典型的な例が、G.W.ブッシュ元大統領の数々の言動だろう。

それでは、前述のナショナル・ジオグラフィックの統計結果をどう見るか。

外務省のHPによれば、アメリカの人口は約3億人である。これをベースに考えると、進化論を受け入れているのが4200万人ほど、完全却下が約1億人ということになる。また、同国の人種別比率であるが、ウィキペディアによると2005年時点で、欧州、北アフリカをはじめとする白人が74.7%(2億1530万人)、アフリカ系黒人12.1%(3490万人)。構成比を宗教別に見ると、2003年時点で、プロテスタントが58%、カトリックが21%。黒人やアジア人でもキリスト教信仰者はいるだろうが、人口比から見ても、やはり圧倒的に欧州系白人の割合が多い。

このように考えていくと、アメリカ合衆国において、国民が、進化論よりも創造論を受け入れる傾向が強いことに納得がいく気がする。しかし、創造論者たちは、近年の科学―特に医療―の発達との間に生じるジレンマをどのように解決しているのだろうか?

※その3へつづく